パブリック研修の参加者が、プライベート研修の参加者よりも、平均的に優れた結果を出す理由
スクラム、アジャイル、LeSSにおける仕事に対する考え方は、伝統的な考え方と大きく異なります。スクラムとアジャイルは必然的に、組織構造や組織方針など、組織設計の変更を意味することになります。 LeSSでは、このような変化に明確に焦点を合わせることになります。
スクラムを学ぶ最良の方法は、3〜6人のチームで参加者同士がお互いに教え合うことであると私は考えています。 スクラムはチームベースのアプローチです。 研修中、参加者は私からの講義を聞くよりも、実際に小グループで難しいトレーニング演習に取り組むことで、より多くを学びます。
パブリック研修には、アジャイルにすでに熱心であるか、アジャイルに非常に興味があり、準備作業に専念している登録者が常に含まれています。私は、研修前にメールにて非公式のアセスメントを依頼し、各参加者のおよその心構えや準備の具合を把握します。 次に、研修前のアセスメントの内容をよく理解している参加者を、「シード」メンバーとして各チームに少なくとも1人確保します。 この方法は絶対とはいえませんが、他の参加者が研修でどれだけ学ぶかに大きく影響します。
スクラムトレーナーになって20年経ちましたが、私はいまだにプライベート研修で、変わることのない二つの問題を抱えています。
プライベート研修の問題#1:参加者の準備
プライベート研修前は、参加者の熱意はあまり高くなく、準備が整っていないこともしばしばです。また、 研修中においては、自分の仕事で何が起こっているかなど、他の問題に気を取られている参加者もいます。 その結果、準備作業から基本的な概念を繰り返すことに限られた研修時間を費やしてしまい、例えば実際の企業でアジャイルなアプローチがどのように成功または失敗するかなどの、より高度な内容をカバーすることができなくなってしまいます。 予定された時間内にできることには限りがあります。 今まで私が講師を務めたワークショップで、私が用意したアクティビティを全て終わらせることはありませんでした。 参加者が資料をどの程度理解しているかに基づいて、優先順位を付ける必要があるからです。
プライベート研修を改善するためにできることを一つ挙げるとしたら、研修の2週間前に参加者に準備作業を提供することです。 二週間という期間を設けることにより、より多くの参加者が準備作業をこなし、アセスメントの答えを私に返信していただくことが可能になると考えています。 こうすることにより、クラス全体の準備がより整っており、各トレーニングチームの「シード」メンバーを特定できる、という二つの利点が浮かび上がります。
企業は一般的に、完璧な参加者名簿のみを私と共有しようとします。 実直であろうとすることは素晴らしいことです。不完全な仕事を楽しむ人は誰もいません。 しかし、名簿を完璧にしようとすると、参加者との最初のコミュニケーションが遅れるため、研修の充実度に影響を及ぼします。 ですから、2週間前を目安として、できるだけ早く、未完成な名簿であっても、その時お持ちのものをお送りください。 研修2週間前に受け取った50%の名簿は、研修数日前の完全な名簿よりもはるかに有益です。
名簿をお送りいただくことが遅れれば遅れるほど、参加者の準備体制が予定された研修のレベルに伴わないことになり、その結果、研修のクオリティーを低下させることになります。
プライベートコースの問題#2:参加者の権限
私は時々、上級管理職を含まないグループのプライベート研修を開催するよう依頼されます。 これでは時間を有効活用することはできません。 スクラム、アジャイル、およびLeSSは、組織設計の変更を意味します(https://scrummaster.jp/you-wont-change-your-organization-without-an-optimization-goal/を参照してください)。 私が知っているすべての成功したアジャイルの適用には、トップダウン(上から下)とボトムアップ(下から上)の両方が関与しています。 ゆえに、研修には組織の構造や方針に影響を与えることができる上級管理職もご参加いただくよう、お願いいたします。