クレイグ・ラーマンの法則 (Larman’s Laws)

  1. 組織構造は暗黙的に現行のマネージャーと専門家の役職や権限が変わらないように最適化されています。

  2. 1の影響により、変化を起こす提案は、元の状態が再定義される、もしくは新しい用語が乱用されることになり、結果的に元々の状態と変わらない状態になります。

  3. 1の影響により、変化を起こす提案は「理想主義だ」、「机上の空論だ」、「革命だ」、「宗教だ」、「我々の環境に合うようにカスタマイズすべきだ」といった批判や嘲笑の対象になります。 ーこれは、自分たちの弱点から目をそらすためであり、マネージャーや専門家が現状を維持するためのものです。

  4. 1の影響により、本来の変化とは異なる変化になってしまい、仕事にありつけなかったマネージャーや専門家がまだ残っていた場合、彼らは(2)や(3)を推し進めながら変化を遂行するためのコーチやトレーナーになってしまいます。

  5. 組織構造が文化を作ります。

もしくは、体制や組織設計が文化、振舞い、マインドセットに影響を及ぼすといってもいいでしょう。すなわち、あなたが本当に文化を変えたいのであれば、組織の構造を変えなければなりません。それ以外に文化を変える方法はありません。ただし、これは大規模な組織の場合であり、スタートアップでは全くの逆です。文化が組織構造に影響を及ぼします(マインドセットが組織構造を作るのです)。

そして、組織構造が文化を作る(大規模な場合)ゆえに、学習する組織といったような深い思考体制がが単体では定着しなかったり、影響を及ぼす事が難しい理由です。そしてスクラム(最初から組織に変更を及ぼす事を意識している)がより早く文化に影響を及ぼす事ができる理由となります。ーもちろん、スクラムによる構造改革が実現可能であれば、という条件が付随されます。

システム思考家であり、システム思考の提唱者であるJohn Seddon氏曰く、「組織の文化を変えようとする事は愚かな試みです。なぜなら、そのような試みは常に失敗するからです。人々のふるまい(文化)は体制により作られるからです。もしあなたが体制を変えれば人々のふるまいは変わるでしょう。」

Craig Larman

Translation by Aki Enomoto and Yoko Hinoue.

Larman’s Laws of Organizational Behavior in English

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