シーン7: なぜ「チーフプロダクトオーナー」は間違いなのでしょうか?
長期的には、唯一の持続可能な強みは競合他社よりも早く学ぶ能力です。
– ピーター•センジ
例えば、私の会社が複数のチームと一緒にプロダクトを開発しようとしていて、最優先事項に注力できなければ長期的には生き残れない状況だとしよう。私なら、一番大事な課題を1つのプロダクトバックログで管理することを考えるだろう。チームが過去にやりやすかった方法などではなく、全チームがプロダクト全体で1つに統合された本当のプロダクトバックログに集中できるようにするのだ。
例えば、普段は複数の魚型ロボットに群れを作って泳がせるプログラムを作っているチームにいるとしよう。だが、ある月の会社全体の最重要事項は、水温に応じて魚型ロボットの色を変える機能になったりする。ビジネスの成功のためには、チームは新しいスキルを学ばなければならないのだ。
もちろん、チームを入れ替えるのは現実的ではない。そうではなくて、各スプリントにおいて、プロダクトバックログにあるどのアイテムをどのチームが担当するかを、チームが自分たちで決めるのだ。
プロダクトの作業は1つのプロダクトバックログに記述する。
– スクラムガイド
プロダクト全体思考を育みたければ、私ならこうする。スクラムマスターには、チーム間のバリアを取り除く手助けをしてほしいと言う。開発者には、「チームを超えた協力体制を作るのは、今やあなたたちの責任だ」と伝える。
それから、開発者が顧客から詳しく説明を受けられるよう両者間のバリアを取り除く。これで、チームアウトプットオーナーが開発者に手取り足取り教えなくて済む。
実際、開発者たちはプロダクトバックログの管理に参加し始めるだろう。
プロダクトバ ックログの管理には…プロダクトオーナーが行う場合もあれば、開発チームが行う場合もある。いずれの場合も、最終的な責任はプロダクトオーナーが持つ。
– スクラムガイド
共感と洞察を築くために、一同が顧客やユーザーと対面する必要があります。
– ジェフ•パットン
説明通りに全てが機能するには数年かかるかもしれないが、実践の積み重ねはある。
プロダクトバックログは変革され続けなければならない。そして、その中にあるアイテムの優先順位を最終決定して開発作業の価値を最大化する、真の権限とビジョンを持つ人物が必要だ。
この人物に新たな肩書きは要らない。目新しい役割ではないからだ。
この人物こそ「プロダクトオーナー」である。