シーン6: チームの自己管理能力や機能横断性を高めつつ、プロダクトオーナーの役割を間違えて行き詰まっている人を救い出す方法はありますか?
各チーム一人がこの役割をこなすのが良いと考えて実践する人を、私は尊敬する。
そういう人は、その場ですぐにフィードバックがもらえたり、要件についての質問に答えてくれる人がいるような環境下でたくさんの仕事をこなせる。もちろん、誰だってそんな環境が欲しいものだ。
このやり方がうまくいくのは、権力差が小さく、メンバーが自然に責任を分かち合う環境が既にできている場所だと感じる。つまり、役割分担のないチームに似た環境だ。
開発チームのメンバーに専門能力や専門分野があったとしても、最終的な責任は開発チーム全体が持つ。
ースクラムガイド
だが、私にコーチングを依頼する組織の大半では、ヒエラルキー型の習慣の壁が立ちはだかる。
彼らにとっては、地位と役割は連動するのが現実だ。「すべての役割は平等である。だが一部はもっと平等だ」などと言うつもりはない。
[開発チームは]自己組織化されている。プロダクトバックログをリリース判断可能な機能のインクリメントに変える方法は、誰も(スクラムマスターでさえも)教えてくれない。
–スクラムガイド
彼らが不必要に階層を設けることのないように、スクラムに3つしか役割がない理由と、役割がないチームの自律力(これは、スクラムマスターとマネージメントによって成立する)の大切さをよく説明するようにしている。
すべての役割は平等なのに、一部の役割がもっと平等だ、などということがあるだろうか?
–ジョージ・オーウェル
この人物に、他のチームメンバーと異なる特別な役割はなくともよい。
外部から課せられるプロセスに縛られず、それぞれの状況で誰が何をするのが良いか、自分たちで決められるのだから。
役割を無くして初めてチームの自律性が育つ。恐れることはない。
不明な点があればメール等でご連絡いただきたい。